衣装は見つけました。Booth からダウンロードしたフォルダが、いままさに手元にあるかもしれません。商品ページはあんなに簡単そうでした。素体があって、衣装があって、ふたつが一緒に写っている。ところが「VRChat 衣装 着せ替え やり方」で検索すると、その 2 枚の画像のあいだに Unity プロジェクトとアーマチュアと、あなたと同じくらい混乱した人たちの質問スレが挟まっていることを知ります。
この記事は、その全体像を 1 か所にまとめたものです。そもそもなぜ衣装は「合う」のか。定番の Unity ルートでは何をするのか。同じ作業が Layman’s Avatar Studio(LAS) ではどう見えるのか(クリックです)。ゲーム内で切り替えられるようにするには。そして、宙に浮いたまま T ポーズする衣装をはじめ、定番の失敗の直し方。どのルートを選んでも、「いま何が起きているのか」がわかるようになります。
始める前に必要なもの
3 つだけ。3 つ目が見落とされがちです。
- アバターのデータ。 ゲーム内のアバターではなく、所有している素体そのもの、購入したパッケージのことです。まだ探している段階なら、Booth での買い方ガイドからどうぞ。
- PC。 手動ルートなら Unity が動くもの。LAS ルートなら Windows。
- 自分の素体に対応した衣装。 これが本題です。衣装は特定の素体の体型に合わせて作られていて、商品ページに対応アバターが書いてあります。別の素体用の衣装は、あなたの素体に勝手に伸び縮みしてはくれません。理由は次の節で明らかになります。買う前に対応リストを確認する。この趣味でいちばん役に立つ習慣です。
そもそも「Unity なしでアバターを持つ方法」を探していた人は、先にその質問への完全ガイドを読んでから戻ってきてください。
なぜ衣装は「合う」のか: 30 秒の理論
アバターにはスケルトンがあります。見えないボーンの階層構造で、見えている体はそれに追従しています。衣装にも対応するスケルトンがあります。着せ替えとは、衣装のボーンを体のボーンに結合することです。腕が動けば袖も動く。仕組みはこれだけです。
そして、これで全部の失敗が説明できます。対応衣装はボーンの位置がぴったり合うので、結合は機械的に済みます。別の体型用の衣装は、違うプロポーションの上の違う位置にボーンがあるので、浮くか、貫通するか、T ポーズのまま止まります。そもそも結合されていない衣装は、アバターが歩き去ったあとも初期ポーズのまま宙に残ります。この絵を頭に置いておいてください。あとの「直し方」の節はこれに乗って進みます。
実用的な帰結をひとつ。互換性は、買う前に商品ページから読み取れます。対応アバターのリストが契約書です。「Modular Avatar 対応」やセットアップ済み Prefab の同梱は、結合工程が自動化されている印。メッシュだけが入っている出品は、誰か(またはどこかのソフト)の仕事が残っている印です。出品の読み方は、利用規約も含めて Booth ガイドで深掘りしています。
非対応衣装を着せたい場合(正直な話)
日本語の質問スレでいちばん多いのが、実はこれです。先に正直に言います。非対応衣装は、対応衣装と同じワンクリックにはなりません。LAS でも、他のどこでも。問題が配線ではなく形状だからです。服そのものが別の体のために作られています。
とはいえ、もう絶望的でもありません。このギャップのために、コミュニティは自動フィッティングツールを作ってきました。いちばん名前を聞くのは、もちふぃった~でしょう。衣装のメッシュを対象の体型に合わせて変形するもので、仕上がりは本当に立派になってきています。正直な注意点はふたつ。仕上がりは元の体型どうしの距離に左右されること、そしてこれらは Unity のエディタ拡張なので、手動ルート側の道具だということです。
現実的な選択肢を、手間の少ない順に。(1) 自分の素体対応版があるならそれを買う(人気の衣装は対応素体違いで売られていることが多い)。(2) 自分の素体の対応衣装から選ぶ。対応衣装が多い素体を選ぶことがどれだけ効くかは、ここで実感します。(3) Unity に抵抗がないなら自動フィッティングツールを試す。(4) クリエイターにリサイズを依頼する。(5) Blender でのメッシュ編集を覚える。これは本物の技能で、もはや別の趣味です。どれを選んでも、仕上がりはよく見てください。最高の自動フィットでも、手首・胸まわり・靴は一度は目視で確認する価値があります。
定番ルート: Unity + Modular Avatar
定番のチュートリアルが教えている道を、正直に圧縮します。Unity と VCC を用意し、素体と衣装をインポートし、衣装が前提とするツールを入れます。ほぼ確実に Modular Avatar です。ボーン結合の実作業を担う、コミュニティ標準のツールです。衣装の Prefab をアバターに載せてセットアップ(MA 対応衣装なら例の「右クリック → Setup Outfit」)を実行すると、スケルトンが結合されます。そこから仕上げです。元の服を非表示にして貫通を防ぎ、衣装が想定するシェイプキーを調整し、クリッピングを直し、SDK からアップロードします。
理不尽な作業ではありませんし、毎週何千人もやっています。ただ、学習曲線のあるプロ用パイプラインであることも確かで、最初の 1 着には午後がまるごと消えます。2 着目からは消えません。各工程の中身を先に知っておきたい人は、Unity なしガイドの手動ルートの節にステップごとの解説があります。
初心者がつまずく場所
サポートスレの失敗談は、驚くほど同じです。インポート時の missing script エラー(衣装が前提とする Modular Avatar がプロジェクトにない)。宙に浮いたまま T ポーズの衣装(スケルトンが結合されていない)。衣装を着せたら体が消えた(貫通防止のシェイプキーを衣装側のアニメーションが黙って動かした)。前の服と新しい服の二重着(元の服を隠すのは別の手作業)。どれも致命傷ではありません。そしてどれも、ソフトウェアが知っていられたはずのことを人間に要求した結果です。この感覚、覚えておいてください。
LAS ルート: 取り込んで、着せて、おわり
同じ仕事を、ソフトウェアが実行するとこうなります。実際のキャプチャ付きで全工程を。
1. 買ったものを取り込む
衣装のファイルを LAS に渡します。取り込みがアーカイブを展開し(Windows で文字化けする日本語 zip も含めて)、中身を識別して、アバターのワードローブに整理します。プロジェクト作成も依存ツール集めもありません。衣装が必要とする配線は、あらかじめ済んでいます。
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2. クリックして着せる
工程はこれです。ワードローブで衣装をクリックすると、ライブビューポートのアバターがそれを着ています。ボーンは結合され、元の服は自動で隠れ、シェイプキーは処理済み。内部で動いているのは手動ルートと同じ、信頼されている Modular Avatar と VRCFury の仕組みで、毎回正しく配線されます。しかも非破壊。購入したファイルには手を加えないので、クリックを外せば元通りです。
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着せたあとも全部いじれます。新しい衣装のどのパーツでも色改変できて、モーフも調整できて、クリックし続けられます。
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3. ゲーム内と同じ条件で確認する
「試してみる」はアバターをライブで動かします。ジェスチャーも揺れものもメニューも動くので、アップロードの前に全部確認できます。後で気づいてもう一度、ではなく。
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4. アップロード
ワンクリックで、公式の VRChat SDK を通して、あなた自身のアカウントからアップロードされます。VRChat が全アップローダーに求める権利の確認も、いつも通りあなたが行います。あとは、ワールドで着るだけです。
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正直な注記。LAS はクローズドベータ中で、Windows 専用、そして衣装が素体に対応している必要があるのは変わりません。そこを曖昧にするツールを信用しないでください。動いている様子はホームページのツアーで見られます。
ゲーム内で切り替える: トグル化
次に欲しくなるのは当然、「一生この 1 着」ではなく、ゲーム内から開けるクローゼットです。ゲーム内の切り替えはアバターの Ex メニュー(デスクトップは R キー、VR はラジアルメニュー)から行いますが、そのトグルが組み込まれていることが条件です。
手動ルートでは、アニメーションとメニュー項目を作るか、VRCFury のトグルコンポーネントを使うかを、アイテムごとにやります。LAS では、着ているものは最初からトグル可能です。衣装はアバターのメニューの項目になり、「装備中」パネルがパーツ単位までワードローブを管理します。どの衣装のどのパーツも、素体の元の服も、スイッチひとつでアップロードに含めたり外したりできます。これが、全衣装を詰め込んで重くなる事故を防ぐ方法でもあります。
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フォーラムで実際に議論されている疑問にも答えておきます。トグル満載のクローゼット付きアバターを 1 体作るべきか、見た目ごとに別アバターとしてアップロードすべきか。どちらも正解です。1 体+トグルは、会話の途中でもロード画面なしで着替えられる代わりに、アバターが重くなります。トグルはそれぞれ Ex メニューのパラメータメモリ(上限 256 bit の固定予算)を消費するので、凝ったアバターは本当に上限に当たります。別アップロードは 1 体ずつ軽い代わりに、管理が増えて切り替えのたびにロードが入ります。無難な使い分けは、普段ローテーションする衣装はトグル、全身の衣替えは別アップロード。LAS はアップロード前にメモリ使用量を表示するので、この予算が不意打ちになりません。
この層に他に何が住んでいるかは、エディタ視点の紹介ページにまとまっています。トグルは、LAS がメニューに配線してくれるもののひとつにすぎません。
おかしくなったときの直し方
サポートスレからそのまま持ってきた症状と、原因と、治療法です。手動ルートでは自分で直します。LAS 側の記述が短いのは、結合・非表示・メニューが構造的に処理されているからです。
衣装が T ポーズのまま浮いている
スケルトンが結合されていません。衣装はシーンにあるのに、体に付いていない状態です。手動での直し方: Modular Avatar が本当にインストールされているか、衣装の Prefab がアバターの中(隣ではなく)にあるか、セットアップを実行したかを確認します。自動セットアップのない衣装なら、ボーンを 1 本ずつ手作業で親子付けすることになります。まさに、ツールが消すために生まれた苦行です。
体が消える・服から突き抜ける
体と衣装は重なるので、クリエイターは体を服の内側に縮めるシェイプキーを用意しています。体が消えたなら、縮めすぎか、衣装付属のアニメーションが黙って動かしたか。突き抜けるなら、縮めが足りません。手動での直し方: 体メッシュのシェイプキーをインスペクターで探して調整します。LAS では、衣装を着せた時点で想定シェイプキーが適用され、見えているものはパネルからライブビューポート上で調整できます。数字ではなく目で。
衣装のインポートで missing script エラー
衣装が前提とするツール(たいてい Modular Avatar)がプロジェクトにありません。手動での直し方: VCC から導入して、衣装パッケージを入れ直します。見た目は怖いエラーですが、意味は「依存ツールがない」だけです。
前の服と新しい服が二重になっている
手動ルートでは、衣装を着せても前の衣装は自動では脱げません。素体の元の服を隠すのは自分の仕事で、メッシュの表示切り替えか、アップロードから外れる EditorOnly タグを使うのが定石です。LAS では入れ替えがデフォルトで、意図的に上書きしたいときに装備中パネルを使います。
展開したファイル名が文字化けして、Unity でアセットが見つからない
日本語ファイル名の zip を、エンコーディングを間違える Windows のツールで展開すると、名前が化けます。見た目だけの問題に見えて、衣装の内部参照は元の名前を指しているので、インポートが静かに壊れます。手動での直し方: インポート前に、コードページ 932 を扱える展開ツールで展開し直すこと。LAS の取り込みは最初からアーカイブのエンコーディングを正しく読むので、この海外 Booth 購入者を一晩悩ませる系の問題ごと消えます。
衣装がピンク色で表示される
ピンクは Unity の「マテリアルのシェーダーがない」の合図で、衣装が前提とするシェーダー(定番は lilToon)がプロジェクトにないという意味です。これは描画の問題であって、色改変の問題ではありません。手動での直し方は、商品ページに書いてあるシェーダーを導入して入れ直すこと。LAS では、シェーダーの依存関係も取り込みと一緒に処理されます。
ミニ FAQ
ゲーム内で服を着替えるには? アバターのアクションメニュー(デスクトップは R、VR はメニュー長押し)を開いて、衣装のトグルを探します。あるのは、トグル付きでアップロードされたアバターだけです。メニューに項目がなければ、ゲーム内の設定では足せません。それはビルド時に決まるものだからです。
変更のたびに再アップロードが必要? 必要です。衣装も色もトグルも、ビルド時にアバターに焼き込まれるので、変更はそのたびに新しいアップロードとして前のものを置き換えます。パイプラインが自動なら 30 秒の話です。そして、これが手動だと苦行になるからこそ、改変をやめてしまう人が出るのです。
別々の衣装のパーツを組み合わせてもいい? 同じ素体対応どうしなら大丈夫です。あるセットのトップスに別のセットのスカート、という組み合わせは改変文化の楽しみの半分です。手動では各パーツの表示を自分で管理し、LAS では各パーツが装備中パネルの個別トグルになります。
Unity なしで衣装を着せることはできる? それがこの記事の前提です。パイプラインを実行してくれるツールを使えばできます。LAS が合わない場合の選択肢は、Unity なしの全ルート整理へ。
今日やってみよう
ダウンロードフォルダで衣装が待っているなら、それとアバターのあいだに何があるのか、どのルートについても、もうわかったはずです。手動パイプラインは習得可能で、周りのコミュニティは親切で、ツールいじりが好きなら楽しくすらあります。そして、その午後を「前提ツールのインストール」ではなく「衣装を着ている時間」に使いたいなら、それこそが LAS の埋める隙間です。取り込む、クリック、確認、アップロード。
LAS はクローズドベータ中です。ウェイトリストに登録すればオープン時に 1 通だけメールが届きます。無料プランの範囲は料金セクションへ。手強い衣装の質問は Discord に持ってきてください。